厨房設計コンサルタントが教える繁盛店づくりの視点

 

【第8回 メニュー戦略】 「撮りたくなる料理」、ありますか?

 

2019年08月20日

 

 

飲食店がお客様を引き寄せる最大のコンテンツはなんといってもおいしい料理です。人気店の視察に行くと、一見、ポピュラーな定番料理を提供しているようでも、そこには「よそとは何か違う」と思わせる特徴があるものです。

 

「最近、客数が減った」「前までよく来てくれていた方が来なくなった」といった悩みを持っている飲食店の多くには共通点が見受けられます。それは、マンネリ化です。新メニューを開発していないことだけがその理由ではなくて、メニューの訴求の仕方に問題がある店が多いように感じるのです。

 

「食べないと損だ」と思わせる

ご自身がお客として飲食店を訪れたとき、どんなメニューが目に留まり、食べたくなるのかを考えてみてください。お店を訪れる前に何を食べるかを決めている場合は別として、大抵はメニューブックなどを見て選びます。そのとき、他の店では食べられない、その店ならではの料理を選ぶことが多いのではないでしょうか。

 

つまり「今、この店でこの料理を食べないと損だ」と思わせるような強い働きかけ、いわば必然性が明確になっていることが、大きなポイントなのです。それを生み出すためには、お客様に人気のあるキーワードを上手に使うことが大切です。

 

「真夏の太陽を浴びた真っ赤なトマトを使った濃厚ソース」や、「緑豊かな環境で育てた豚をじっくり10時間かけて煮込んだ〇〇」というように、特徴を明確にしたキャッチコピーはその一つです。「限定10食」「8月いっぱいの季節限定メニュー」など希少性をうたって、「食べるなら今しかない」と思わせるような提供法も有効でしょう。

 

さらにはこういったフレーズを記した手書きのPOPを作ったり、黒板で「本日のおすすめ」として紹介したりするのもよいでしょう。お客様がそれに目を留めスタッフに内容を尋ねてもらえれば、コミュニケーションのきっかけにもなります。

 

ただ、「おすすめ」が目を引くからといって、その数が多すぎると逆にお客様を悩ませることになります。全メニューの1割くらいを目安に調整しましょう。鮮度の関係で早めにさばいてしまいたい食材を使ったメニューも、こういったカテゴリーに入れると、ロスを出すことなく売り切ることができます。

 

鰻専門店など、特定の料理しかないのに常に行列ができるお店もあります。それは、メニューを特化させた強さがあるからです。一般的な飲食店ではそこまで突き詰めたメニュー開発を行うのは難しいかもしれませんが、「うちの店に来たらこれは必ず食べてほしい」と胸を張って言えるくらいのクオリティと完成度でメニューを開発することが大切です。

 

「インスタ映え」でお客様を通じてPR

最近はやりの「インスタ映え」も意識してみましょう。スマートフォン(以下、スマホ)の普及によって、飲食店でお客様が料理を撮影する行為は珍しいことではなくなりました。「料理を出されたらすぐに食べてほしい」という作り手側の思いも理解できますが、お客様がスマホを取り出すのは、その料理やデザートがおいしそうだったり、見た目が美しかったりするからです。彩り、断面の美しさ、ボリューム感、新種の食材など、売り物にできるポイントはいくつもあります。お客様の好意から生じるSNSでの拡散力を集客に生かしましょう。

 

おいしそうと感じてもらうためには、パフォーマンスも重要です。例えば、厨房でかけて仕上げていたソースを、あえてアツアツの状態で客席にお持ちし、お客様の目の前で仕上げれば、ライブ感が生まれてよりおいしそうに演出できます。「ソースを掛けてから30秒ぐらいは湯気が出ますから、お写真を撮るならその間にどうぞ」などと言葉を添えてもよいかもしれません。最近は動画をアップする人も増えていますから、鉄板で「ジューッ」と音がする、シズル感を強調する提供法も魅力の一つになります。客席でチーズを削り、パスタやサラダにたっぷりとかけるなど、お客様が思わず写真や動画を撮りたくなるような仕掛けを取り入れるのも一案です。

 

SNSでの情報拡散を通じた集客の効果は、一時的なもので終わってしまうこともあります。しかし、まずは多くの人にお店や看板メニューの存在を知ってもらわなければ、何も始まりません。あなたを作ったおいしい料理を、よりおいしく感じてもらうために、どのようなアピールや演出ができるか、今一度、知恵を絞ってみてはいかがでしょうか。そのような仕掛けで来店したお客様を、料理の質、気持ちの良いサービス、居心地の良い空間、清潔感などの総合力で、リピーターに変えるのです。

 

8回に渡り、繁盛店づくりのヒントをお伝えしてきました。どんな時代においても、飲食業はお客様を笑顔にする素晴らしい仕事です。これからもみなさんのお店が多くのお客様に愛され、繁盛することを願っています。ご愛読ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

講師紹介

 

坂場一昭(さかば・かずあき)

NRTシステム代表取締役 畑治(はた・おさむ)

 

1959年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学工学部を卒業後、フードサービス企業やフードサービスのコンサルティング企業などを経て、2002年に厨房設計コンサルティング業務を手掛けるNRTシステムに入社。2010年に代表取締役に就任。モットーは「日本の厨房を良くしよう!」

 

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