厨房設計コンサルタントが教える繁盛店づくりの視点

 

【第5回 厨房機器トレンド】増える、自動洗浄の搭載機器。店の人手不足を救う!?

 

2019年07月29日

 

 

飲食店の新規開業において、店の基幹部分である厨房にこだわる方は多いでしょう。導入コストがかかる厨房機器は気軽に入れ替えるものではないため、どのような機器を導入するかは、店の将来を見据えて、慎重に検討する必要があります。

 

厨房機器業界で、今から約30年前に起こった革新的な変化というと、今や飲食店にとって必須の機器の一つとして浸透しているスチームコンベクションオーブン(以下、スチコン)が挙げられます。名前にオーブンとありますが、「焼く」だけではなくて、「蒸す」「煮る」「炒める」「揚げる」といった加熱調理全般が、一台でまかなえる夢のような機器です。そのうえ、温度と時間のコントロールにより調理を高い精度でプログラミングできるため、操作を覚えれば新人スタッフでも有名シェフのレシピをかなりの部分まで再現できるようになりました。まさに厨房の歴史を変えるような存在だったわけです。

 

スチコンの性能も着実に進化

厨房機器はその後も進化を遂げています。それぞれの機器の性能は上がり、新たな機能も追加されています。

 

スチコンを例にとると、近年はスチームモードで調理する場合でも、ダンパーを開いて蒸気を抜くことが可能になり、魚の塩焼きや北京ダックのように皮目をパリッと香ばしく仕上げたいといったニーズにも対応できるようになりました。また、庫内の加熱温度や調理時間を段ごとにコントロールして別々の料理を順に仕上げる機能も一般的になっています。

 

また、厨房機器全般においてここ2、3年で増えている機能が「自動洗浄モード」です。加熱機器の場合、営業時間中はほぼ稼働し続けるため、衛生面から毎日のこまめな清掃は欠かせません。ただ、その作業はどうしても営業後になってしまうため、飲食店経営においては悩みの種でした。しかし自動洗浄機能があれば、作業の省力化に貢献できるのです。

 

この自動洗浄機能は冷却機器にも付加されるようになっています。個人的に注目しているのは、2018年あたりから増えてきたブラストチラー(急速冷却機)の自動洗浄機能です。非稼働時は庫内が常温で、食品の冷却時だけ急激に温度を下げていくブラストチラーは、結露などが発生して湿気がこもりやすく、きちんと清掃しないと雑菌の温床となります。使用後に毎回洗浄するのが食の安全・安心における基本ですが、スチコンと比べて汚れが目立ちにくいといった理由で、衛生的なケアがおろそかになりがちです。こういった現場の課題を機器が自ら解決する“働く人に優しい厨房機器”は、今後ますます増えていくことでしょう。

 

購入前に試して必要な機器を選択

開業にあたって、自店の「やりたいこと」を考えたうえで必要な厨房機器を選択するのは当然のことでしょう。ただ、一口に「6段フルサイズのスチコン」といっても、使いやすさや品質においてメーカーごとの特徴があります。サイズやカタログだけではなく、実際の機器を見てみないと分からない部分もあるのです。

ですから、「これ」という機器がすでに決まっている場合は別として、新たに購入する場合は、メーカーのショールームや厨房機器の展示会に足を運び、機器に触れてその性能や使い勝手を確認することをお勧めします。「前に勤めていた店で使っていて慣れているから」という理由で、同じメーカーの機器を選ぶ方も多いのですが、前述のとおりそれぞれの機器の性能は日々進化していますから、購入するタイミングで確かめるのがベストです。

できれば数社のメーカーで、同じサイズ、スペックの機器を使って、自店でメインに提供したい料理を調理してもらい、仕上がりを比べるのが理想的でしょう。より多くのメーカーの機器を一度に試したい場合は、熱源供給会社(首都圏であれば、東京ガスや東京電力)のショールームを利用するのも一つの手です。

料理の仕上がりはもちろんですが、メーカーのサポート体制、料理人の観点からアドバイスをしてくれるメーカーの専属シェフとの相性などもチェックしておきましょう。厨房機器は安い買い物ではないですし、メーカーとは長いお付き合いになりますので、使い方などで困った時にすぐに相談しやすいことも大切な要素になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

講師紹介

 

坂場一昭(さかば・かずあき)

NRTシステム代表取締役 畑治(はた・おさむ)

 

1959年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学工学部を卒業後、フードサービス企業やフードサービスのコンサルティング企業などを経て、2002年に厨房設計コンサルティング業務を手掛けるNRTシステムに入社。2010年に代表取締役に就任。モットーは「日本の厨房を良くしよう!」

 

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