厨房設計コンサルタントが教える繁盛店づくりの視点

 

【第6回 物件選び】立地調査で競合店以外にチェックすべきもの

 

2019年08月06日

 

 

飲食店の新規開業で、頭を悩ませることの一つが物件選びではないでしょうか。今回は、この物件選びに注目してみましょう。

 

まずは出店エリアを含めた、店の立地についてからお話しします。「ここ」と狙いを定めた地域に、どんな人が暮らしていて、通りかかるのか。また、来店してほしいお客様がいる立地なのかどうか。平日、休日の昼夜を通して自身の目でマーケットリサーチを行うことが肝心です。移動販売でもない限り、店の場所は簡単には動かせません。大切な資金を投じて店を構える場所ですから、「こんなはずではなかった」と開店後に後悔しないよう、納得のいくまで調査することをお勧めします。

 

立地調査における着目ポイントは二つあります。まずは、競合する飲食店だけでなく、その地域で流行っている飲食店以外の店の客層にも目を向けることが大切です。例えば、女性客が好みそうな洒落た雑貨屋やセレクトショップ、美容院があるとか、若い客層が多く訪れるドラッグストアや大手量販店がある、などです。自店のターゲット層と同じ客層を集める店が周辺にあれば、あなたの店に来店する可能性が高まります。

 

二つ目は競合する飲食店の有無をチェックしましょう。しかし、競合が多いことはその立地をあきらめる決定打にはなりません。例えば、大手チェーンのカフェは、ほとんどが駅前や大通りの目につきやすい場所などにあります。そういった店の周辺には、同様のコンセプトのカフェが出店しているケースが多いです。競合店が近くにあると、お客様の取り合いになるのではと考えがちですが、ニーズが一致しているお客様がそのエリアに多く集まるわけですから、商品力などに自信があれば、同じ業態でも勝負をする価値はあります。

 

不動産業者を活用しよう

エリアが絞れたら、あとはどうやって優良物件の情報を手に入れるかがカギとなります。そのためにはアナログ的ではありますが、そのエリアの店舗物件を多く扱っている不動産業者に足繁く通い、こまめに連絡を取り合うことが大切です。

 

不動産業者は、その街のプロです。人の流れを変えかねない再開発計画や、「あの地域は、真冬になると冷たい風が直接吹き付けるので、昼間でも人通りが少ない」といった、地域に根差して営業しているからこそわかる生きた情報を入手できるかもしれません。不動産業者には多くの物件情報が集まります。良い関係性をつくっておけば、退去予定の物件や空きが出た物件の情報を、一般に公開される前に教えてくれることもあります。

 

もちろん、良い立地さえ押さえられれば必ず繁盛店にできるわけではありません。まずは自身がやりたい店のコンセプトをしっかりと固めたうえで、それに対するハード的な要件を備えた物件を探すのが望ましいです。

 

居抜き物件は慎重にチェック

初期投資を抑えるために居抜き物件を検討している方も多いでしょう。居抜き専門の不動産業者も多く、需要は年々高まっています。居抜き物件は、業態が同じ、あるいは似ている場合は厨房設備がそのまま使えるなどのメリットがあることも確かですが、場合によっては想定外のコストがかかることもあります。

 

盲点となりがちなのが「造作譲渡」と呼ばれる契約形態です。居抜き物件の取得の際に、保証金や礼金のほか、内部の造作や備品を買い受けるための譲渡料がかかるケースがあります。厨房機器など、譲渡対象となる設備や機器が十分に使える状態であれば問題ないのですが、古すぎて使えない場合は、処分料が余分にかかります。設備が古いと、いざ開業しても排水が詰まるとか、機器が故障するなどのトラブルが起こる可能性があります。

 

また物件選びでは、見えているものよりも、天井に収納されているダクトや配線、床下の排水設備など、隠れているものの方が重要です。お店をすでに何店か手がけた経営者ですら、「このシンクを反対の場所に動かせないか」などと平気でおっしゃる方がいます。シンクの下には排水管などの水回り設備があり、コンロの上にはダクトがあります。そういった設備の位置を変えるとなると大工事になりますし、建物によっては変更できないことも。導入予定の厨房機器が決まっているのであれば、それらの機器や設備の使用条件と、物件の設備がマッチしているかどうかもぜひチェックしてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

講師紹介

 

坂場一昭(さかば・かずあき)

NRTシステム代表取締役 畑治(はた・おさむ)

 

1959年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学工学部を卒業後、フードサービス企業やフードサービスのコンサルティング企業などを経て、2002年に厨房設計コンサルティング業務を手掛けるNRTシステムに入社。2010年に代表取締役に就任。モットーは「日本の厨房を良くしよう!」

 

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